3連覇に欠かせないピースが埋まった。盛岡大付のエース左腕・松本跳馬(しゅうま、3年)が夏初戦となった盛岡北戦で緊急リリーフ。4点リードの3回裏1死満塁から火消しを託され、3回2/3を2安打1四球無失点。左肩痛からの復活マウンドを好投で飾り、10-2の7回コールド勝ちを呼び込んだ。一方で、春県大会準Vの第2シード専大北上が2-14の5回コールドで花巻南に完敗し、第3シードの盛岡中央も初戦で姿を消した。

 1死満塁の緊迫した場面でも、違和感なくマウンドに立てた。「結構、楽しかったです」。松本は最速133キロの直球主体で、流れるようなフォームで腕を振った。いきなり一、二塁間を適時打で破られたものの、6回までのロング救援で2安打無失点。「春の反省で、コントロールミスをなくすことを心掛けました」と課題の四球も1つだけで、7年ぶりのノーシードから幸先よくコールド発進につなげた。

 5月21日の県大会2回戦で一関学院に打ち込まれ、その後は左肩痛もあってノースローで回復を待った。7月の練習試合から実戦復帰。聖光学院(福島)戦など計5イニングを投げて調整し、夏開幕に間に合わせた。関口清治監督(41)は「ゲームを立て直して、うちのペースに戻してくれた。大きく崩れることはない。やっぱり、軸になるのは松本です」とエースの復活に目を細めた。

 ゆったりした特徴あるフォームが、ひときわ大きく見えた。それもそのはず、「1年に1、2センチずつ伸びています」と体はまだ成長を続けており、実測は身長185センチ、体重81キロ。登録の「180センチ、73キロ」を大きく逆サバ読みする。

 兄は盛岡大付OBでもあるソフトバンク松本裕樹投手(22)。「携帯電話がないし、電話もしない」と大会前に激励を受けることはなかったが、目指すは兄に続く甲子園のマウンド。昨年はベンチ入りも登板機会はなかっただけに、「誰か1人の力に頼ることはできないので、ベンチも含めた全員野球で戦っていきます」。跳ね馬がエンブレムのフェラーリから命名された良血のサラブレッドが、快調なスタートを切った。【中島正好】