弘前工が八戸工大一に4-3で劇的なサヨナラ勝ちを収め、16年ぶりのベスト4進出を決めた。0-3で迎えた8回裏2死から同点に追いついた。9回裏も2死から1番吉成心右翼手(3年)が右中間二塁打、遊ゴロ悪送球で生還した。3回戦青森明の星戦(延長10回、2-1)から2試合連続のサヨナラ勝ち。伝統校が驚異の粘りで復活した。

 7回まで八戸工大一の和田楓雅投手(3年)に3安打0点に抑えられた。だが8回2死走者なしから満塁のチャンスをつくり、5番盛恵大捕手(3年)が左前2点適時打、6番野呂栄揮遊撃手(3年)が左前打を放ち、たちまち同点だ。

 滝渕安弘監督(50)は「相手の外野が下がっているので、いい当たりでも捕られる。『シングルでいいので低い打球を打て』と指示した。それをうまくやってくれた」という。8回の3安打はすべてシングルヒット。2四死球もあり、相手投手攻略に成功した。

 勝利の瞬間、ナインは跳び上がって喜びを爆発させた。春から苦しい試合が続いた。それでも県大会3位を勝ち取り、17年ぶりの東北大会に出場。利府(宮城)を6-5で破り、1勝を挙げた。今大会3回戦は明の星に苦しめられ、延長10回にサヨナラ勝ちした。

 夏の舞台で2試合連続サヨナラ勝ち。盛は「苦しい試合だったが、必ずチャンスが来ると信じていた」、野呂は「守備からリズムをつくって攻撃につなげることができた」と振り返った。準決勝は私立の弘前学院聖愛と弘前対決。盛は「絶対勝って決勝に行く」と意気込んだ。【北村宏平】