意地だった。8回1死、点差は13点もある。前日21日の準決勝で負傷した左足親指には痛みが残っていた。それでも、駒大苫小牧・大槻主将はあきらめない。カウント2-2から内角直球を強振し、中前にはじき返した。「痛みなんて関係なかった。どんな形でも出る。今までやってきた粘りの姿勢を最後まで貫こう、と」。チームはこの回、最終回と無得点に終わり、中前打が高校最後の打席となった。

 試合後、ベンチで泣き崩れるチームメートから少し離れて取材に対応した大槻は、目を赤くしながら気丈に言った。「チームをまとめきれなかったから負けた」。160センチの小兵は、最後まで伝統校の責任を背負い続けた。春夏連続甲子園はあと1歩で届かなかった。「経験を後輩に伝えたい。明日からは秋に力を出せるようサポートを続けたい」。ベンチ入り6人を含む後輩に思いを託し、支え続ける。【浅水友輝】