<高校野球南神奈川大会:横浜12-0立花学園>◇23日◇準々決勝◇横浜スタジアム

 ドラフト候補の横浜(南神奈川)万波中正外野手(3年)が、横浜スタジアムのバックスクリーン看板を直撃する通算39号2ランを放った。3安打5打点を挙げ6回コールド勝ちに貢献。1年夏、同球場でバックスクリーン直撃の公式戦1号を放った主砲が3連覇へ導く。高校野球100回大会の日刊スポーツ「編成部長」を務める前ロッテのサブロー氏(42)は、その横浜・万波を視察。「育ててみたい」と評価した。

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 万波の本塁打は、横浜スタジアムのバックスクリーンを直撃した。振る力はある。パワーも申し分ない。コンゴ出身の父を持ち、生まれ持った筋肉の質、バネは素晴らしいものがある。尻の位置の高さを見ても、うらやましい限りの体つき。今の日本球界に不足する右打者で、楽天オコエと比べると走るスピードはないが、投手として最速147キロを投げる肩の強さもある。

 バッティングの技術に関しては、まだバラバラ。手の使い方も、下半身と上半身の連動という部分も恐らく分かっていない。準備が遅れたり、硬さもある。大げさにいえば、まだバッターではない。今は子供のまま、身体能力だけで高校野球をやっているように見える。その分、バッティングに関しては伸びしろが大きい。こういう選手を2軍からみっちりと、じっくり時間をかけて育ててみたい。

 これだけパワーがあれば、プロでは左足を上げないノーステップ打法に挑戦するのもいいと思う。合う、合わないはあるが、バッティングの究極はノーステップ。「動きが少ない=ブレが少ない」から、確率は上がる。今は速い直球に差し込まれるが、左足を常に地面につけていれば、いつでもスイングする準備ができる。エンゼルス大谷も大リーグでノーステップ打法に変更して成功した。手元で動く変化球と、日本より速いスピードボールに対する対策だったのだろう。

 無駄な動きが少ない右の大打者といえば、98年に当時の大リーグ最多となる1シーズン70本塁打を放ったマグワイアを思い出す。パワーのある選手は、シンプルでいい。3年後なら大阪桐蔭・根尾の方が上だと思うが、5年後、10年後には根尾を抜く存在になっているかもしれない。