済美のエース山口直哉(3年)が全試合完投で2年連続6度目の夏の甲子園へ導いた。

 「先制点を与えないようにした」と最速144キロの直球と2種類のスライダー、カーブ、チェンジアップをテンポよく投げ込み、準決勝までの5試合で53安打37得点をたたき出してきた新田打線を7安打2点に抑えた。

 兄和哉さん(22=国学院大)は同じく済美の投手で、楽天安楽と同級生だった。その兄から決戦前夜に「自分らしく頑張ってこい」とラインが届いた。4回1死二塁では右中間へ先制二塁打を放つなど、投打で貢献した。

 近年は複数投手で大会を乗り切る高校が多い中、5試合43イニングを投げ切った。大会前に「全試合先発完投」とげきを飛ばした中矢太監督(44)も「持って生まれたしなやかさ、強さがある」と目を細める。兵庫・淡路島の三原中出身の右腕は「投げていて楽しかった」と笑みをこぼした。