創成館(長崎)の夢が断たれた。今センバツ8強から夏の「頂点」を狙って乗り込んだが、大会屈指の右腕に阻まれた。創志学園の2年生右腕・西の前に、先発全員の16三振を喫して完封負け。稙田龍生監督(54)も「完敗でした。あんなに直球、変化球にキレがあると思わなかった。最後の夏に、最高の投球に当たってしまった」と脱帽するしかなかった。

 縦に落ちるスライダーは「想定外」だった。峯主将は「スライダーが良かった。キレがすごかった」と言えば、4番杉原も「スライダーの曲がりが大きくて斜めに落ちてきた」と2三振を喫した。

 「夢を見させてくれたチームだった」。稙田監督は感慨深げに振り返る。昨秋の神宮大会準決勝では大阪桐蔭に7-4で勝ち、王者に公式戦唯一の黒星をつけた。「過去のチームの中では打撃力は落ちるが勝負強い選手が多い。投手陣も5人整備できた。頂点が狙える」と臨んだ夏だった。この日は長崎原爆の日。試合前の午前11時に室内練習場で全員で長崎の方向を向いて1分間の黙とうをして臨んだ。

 勝ちたい思いは結果につながらなかった。「どうやれば上が狙えるか、後輩も分かったと思う」(稙田監督)。大きな挑戦は後輩へ託された。【浦田由紀夫】