第100回の夏で、銀河系軍団が最後まで輝き続けた。大阪桐蔭(北大阪)が決勝で金足農(秋田)を13-2で下し、4年ぶり5度目の優勝を果たした。今秋ドラフト1位候補の根尾昂内野手が、吉田輝星投手(ともに3年)からバックスクリーン弾。プロ注目右腕を完全攻略し、平成最後の夏に、史上初となる2度目の春夏甲子園連覇へ導いた。

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 根尾が誰よりも早く駆けだした。過去2度の優勝は、投手として一塁ベースカバーに走っていた。今回は輪の中心となるべく、遊撃からマウンドを目指すだけ。「今回は早く行きました! ライトフライが上がった瞬間、めちゃくちゃうれしかったです」。号泣する中川の横で、無邪気な笑顔を浮かべた。

 決勝でも主役になった。5点リードの5回無死一塁。金足農・吉田の直球をセンターへ。「ずっとストレートで押されていて、ストレートを待っていた。甘く入ったのでうまく打つことができました」。今大会3本目は、2度目のバックスクリーン弾。狙い澄ました一撃で、史上初となる2度目の春夏甲子園連覇の偉業を引き寄せた。

 初めての夏の甲子園は6歳だった。06年夏、蒸し暑さと「ハンカチ王子」こと早実・斎藤佑樹の印象が強く残っている。その場に立つことをいつの間にか夢見た。高校入学前、大阪桐蔭を見学。「野球だけにかけている雰囲気があった」。スキーの全国大会で優勝経験もあったが、野球に打ち込むことを即決。「『一球同心』が、先輩たちの代から引き継がれていると聞きました。いい空気でした」と振り返る。そして西谷監督との「3年計画」で「二刀流」の歩みは始まった。

 放っておけば練習しすぎる性格。「ブレーキをかけてあげないとガンガンやってしまう。最後の夏に背番号『1』を与えられるぐらいに、イメージをしていました」(西谷監督)。投手としては1、2年時は連投せず。3年の夏前は毎週末必ず練習試合で完投した。結局背番号は「6」だったが、銀河系軍団の中心は根尾だった。

 「素晴らしい高校でやらせていただいて、意識の高い仲間と一緒に出来た2年半というのは今後に生きてくる」。最高の形で締めくくり、新たな舞台へ。「とにかくプロに入りたいという思いがあります。今はそんなに考えていませんがショートかなと思います」と、打者として新たな夢を抱く。校歌を歌い終えると、聖地には大きな虹のアーチがかかっていた。【磯綾乃】