秋季高校野球東北大会(12日から6日間、秋田・こまちスタジアムほか)の組み合わせ抽選会が5日、秋田市内で行われた。2年ぶり5度目出場の横手(秋田2位)は、今夏の甲子園に出場した羽黒(山形2位)と、初戦の2回戦で対戦決定。秋田県大会準々決勝で金足農にも競り勝った182センチ右腕・原陸(2年)と187センチ右腕・渡辺巧真(1年)の「横手ツインタワー」が、来春のセンバツ初出場の高い目標をつかみ取るつもりだ。

長身右腕コンビの継投が、69年夏以来の甲子園を導く生命線だ。強豪集う激戦ブロックに入り、エース原は「自分たちは力があるわけではないので、尻込みせずに出し切れるかが大事。全国区のビッグネームを恐れず、1人1人はベストパフォーマンスできるように準備しています」。渡辺も「横手なら甲子園でプレーできると思った。先輩たちと絶対に行きたい」。金足農さながらのスクイズなど、機動力で勝った勢いを東北大会でも継続させる。

2人の視線の先は、世界だ。原は「世界の歴史に興味がある」。アンコールワット(カンボジア)やボロブドゥール(インドネシア)などの遺跡好き。9月の大阪、京都、奈良への修学旅行でも、自由時間に寺院巡り。「将来は世界史の教師になりたい」。同旅行中には甲子園球場もバスルート。「野球で来たい意識がさらに高まりました」と同校の歴史も塗り替える。

渡辺も「将来の夢は通訳」と文武両道を貫く。中学時代のディズニーランド修学旅行での西武メヒア内野手との出会いに、挑戦する大切さ、喜びを学んだ。「英語で話しかけて写真だけでなくサインももらえました」。現在も変化球の制球力アップに挑戦中。投げ下ろすスライダー、カーブ、フォーク、チェンジアップの腕試し舞台でもある。

今年6月には創立120周年記念試合で、全国優勝経験校の作新学院と対戦(0●11)。今日6日にも県高野連の強化試合で同校と対戦する。原は「最後は点差が開いたけれど、序盤をしっかり抑えて自信になった。良い意味で相手を見下ろせるような成長につながったし、明日も、何が足りないかを感じ取りたい」と、力に変える。

一昨年は県大会優勝も準々決勝敗退。21世紀枠の候補にもなったが落選した。押切信人監督(43)は「2年前の秋の県優勝を見て入って来た子たち。選手も私も、夏への経験ではなく、決勝に行かないとセンバツはないという気持ちが強い」。まずは野球の夢をかなえる挑戦が始まる。【鎌田直秀】