仙台育英が3ー2で仙台工に9回サヨナラ勝ちし、5年ぶり17度目の優勝を決めた。4月に就任した角張将真監督(22)に才能を見込まれ、内野手から転向したエース右腕・菅家功汰(2年)が9回5安打2失点の粘投で優勝に導いた。20日に開幕する秋季東北大会(青森)に出場する。

「ライオン軍団」に新エースが誕生した。今大会から背番号1を任された菅家。中盤は連打を浴びて2失点したが、唯一の変化球スライダーの握りを少しずつ変えながら幻惑。「練習でもやっていなかったこと。ぶっつけ本番です」。打撃でも9回裏の先頭打者で左前安打を放って出塁すると、三塁けん制悪送球でサヨナラのホームも踏んだ。「延長もあるなと思っていたけれど、ラッキーでした。味方にも相手にも助けられた」。無失策の野手や、7回に右前同点適時打を放った佐藤謙成内野手(1年)にも感謝した。

軟投派で活躍した角張監督と二人三脚で基礎を築いてきた。仙台育英-仙台大で同級生の阪神馬場皐輔投手(23)と、全国舞台を経験した一言一句を吸収。夏までは技術ではなく筋力トレーニングを含めた体づくりが中心だった。新しく開始した野球ノートも毎週火曜に提出。練習試合などでの問題点や質問事項を書き、同監督から赤ペンで助言が届く。その度に練習で修正。最大の課題だった制球力もフォームの形成などで成長。この日も1四球。制球力が好投につながった。

チームとしても学校生活から改革した。あいさつ、授業態度、忘れ物など、気の緩みを排除。選手だけのミーティングも増やし、自主性も強化。1年生と2年生がキャッチボールでペアを組み、みんなで帰宅の途につくなど、コミュニケーション向上法は選手で考えた。菅家も「1つ1つの行動をてきぱきとやることで、人間としても成長。考えて野球ができるようになった。自分はエースの自覚はまだまだですが、投手を楽しめています」と笑った。

同監督も、選手のつなぐ意識で、相手ミスにつけ込む野球に手応えを得つつある。「育英と仙台大を足して2で割った感じで良い所取りしています。東北大会も諦めない姿勢で戦いたい」。大舞台での経験も糧にし、東北軟式球界の百獣の王へと上り詰める。【鎌田直秀】