札幌大谷(北海道)が星稜(北信越・石川)に逆転勝ちし、09年大垣日大(岐阜)以来の初出場初優勝を飾った。エース西原健太投手(2年)が1安打完投し、北海道勢としては田中将大投手を擁した05年駒大苫小牧以来のV。来春選抜大会の「神宮大会枠」を獲得し、北海道地区の枠は2となった。

勝利の瞬間、西原はマウンド上で仲間と人さし指を空に掲げた。13年前に北海道勢として初優勝した駒大苫小牧の象徴と言われた1番ポーズだ。「五十嵐部長から、田中将大投手は気持ちが強い投手と聞いていた。その言葉通り、強い気持ちで投げられた」。準決勝で太田が8回まで無安打無得点に抑える快投を見せ「今日は自分の番」と燃えていた。5回にスクイズで先制点を許したが、その後は追加点を与えなかった。

甲子園未出場チームが頂点へ駆け上がった。09年創部で、今年で中高一貫指導10年目。16年のリトルシニア全国選抜で8強入りした西原らを中心に、18人中10人が札幌大谷中出身だ。札幌市内出身者が多い中、西原は電車で2時間以上かかる赤平市出身。現在は下宿暮らしだが、中学時代は「環境のいい大谷でやりたかった」と電車で通学していた向上心の塊だ。

龍谷大平安、星稜といった甲子園常連校を打ち破ったが、西原は「優勝したことは素直にうれしい。でもここはゴールじゃない。雪が降る冬場、この経験を糧に練習してセンバツに向けもっと強くならないと」と言う。雪の大地でさらに力を蓄え、春につなげる。【永野高輔】