全国NO・1左腕を打ち崩して、東北勢初の優勝旗を持ち帰る! 第91回選抜高校野球大会(23日開幕、甲子園)に3年ぶり10度目出場の八戸学院光星(青森)ナインが8日、八戸市内の同校で開催された壮行式に出席。

主将の武岡龍世内野手(2年)は日本一への勢いをつけるためにも、最速153キロ左腕・及川雅貴(2年)擁する横浜(神奈川)との対戦を熱望した。今後は11日にバスで大阪入り予定。組み合わせ抽選会は15日に行われる。

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武岡主将がえんじ色の選抜旗を手にし、気持ちを高ぶらせた。「最初に倒したいのは及川ですね。右の150キロの奥川(石川・星稜)もすごいとは思いますが、左の150キロは一番打ちづらいピッチャーだと思う」。甲子園春夏連覇経験のある横浜との対戦を、自身の手で引き当てるつもりだ。

今冬は11年夏から3季連続で甲子園準優勝した自校の歴史を塗り替えることを「本気で目標に掲げました」と胸を張る。先頭に立って努力を重ねた。細身の体は「食事をするのが嫌になるくらい」と大きめの茶わん1杯だった白米を、毎食3杯にノルマを課した。「今日は2キロ増えてからじゃないと寝ないとか決めた日もありました」。特大おにぎりを作って体重計の前に立ち、大量の水で流し込む深夜もあった。

体重は秋以降10キロ弱増えて、現在は79キロ。下半身の筋力トレーニングも負荷を増し、俊敏さも兼ね備える理想の体が形成された。打球の飛距離や強さ、遊撃からの送球の速さも練習では手応えをつかみつつある。「自分は左打者なので攻略は難しいと思うが、体験しないと分からない部分もある。楽しみ。今は練習だけではちょっと飽きてしまっているので試合がしたい」。大阪入り後、智弁学園(奈良)との初練習試合(12日)から、たまった鬱憤(うっぷん)を爆発させる。

期末テストによるオフも、この日で終了。壮行式では生徒、教師ら約600人を前に壇上で初の日本一に向けた決意表明を行った。東北全体が待ち望む、悲願の優勝旗。「自分たちがつかみ取りたい」。昨夏の甲子園で大敗を喫した龍谷大平安(京都)や、昨秋の東北王者として臨んだ明治神宮大会で惜敗した高松商(香川)への雪辱も期す。強豪を撃破し、決勝戦の厚い壁も打ち破る。【鎌田直秀】

○…仲井宗基監督(48)もグレーのスーツ姿で、紫紺の大旗奪取を誓った。「10回目(出場)、平成最後の節目。夏は100回やっても越えられなかった白河の関ですが、この春こそ学校、青森、東北の代表として最後に校歌を歌いたい」。この日から解禁された練習試合で実戦経験を積んでいる出場校は多いが、「3月11日に甲子園に向けて八戸を出発して、しっかり力を蓄えたい」と、東日本大震災被災地の思いも背負う気持ちを込めた。