高校野球の対外試合が8日に解禁され、センバツの優勝候補の一角に挙がる履正社は、桜宮との大阪勢対決となった練習試合で17-4と大勝した。

履正社のプロ注目の大砲、井上広大外野手(2年)が二塁打を放ち、右膝手術から完全復活をアピール。井上を軸に据える強力打線は4本塁打。初の全国制覇へ、期待を抱かせるスタートになった。

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球春近しを感じさせる暖かい日差しの下で、履正社ナインの打球が次々と外野の頭を越えていった。主力で組んだ1試合目。いきなり17安打、4本塁打で17得点と打ちまくった。

長い冬に徹底したウエートトレと走り込みで、全員がサイズアップ。ユニホームは今にもはち切れそうだ。中でも身長187センチを誇る4番の井上は迫力が違う。大きな弧を描くスイングで相手をひるませた。四球、遊直で迎えた4回の第3打席に左中間二塁打。第4打席は右前に落とした。通算24本目のアーチは出なかったが、甲子園デビューへ元気な姿を披露した。

「守備も走塁も全然問題ありませんでした」。昨年1年間は右膝痛に耐えながらプレー。昨秋の近畿大会後、膝蓋腱炎(しつがいけんえん)の手術を受けた。孤独な別メニューが続いたが、年明けに復帰。2月に入り、紅白戦で特大弾を放つなど予定より速いペースで回復し、センバツで大暴れする準備を整えた。

5番に入った西川黎内野手(2年)の2発など計4本塁打。重厚な打線に死角は見えない。岡田龍生監督(57)は「打つ方はだいぶ、力がついた」と全体を評価する一方で、井上には少々辛口。「(OBのロッテ)安田と比べたら対応力がない。安田は冬場を越えて急によくなった」と17年センバツ準Vの主砲と比較して高いレベルを求めた。

手術明け最初の対外試合。力みからか、ミスショットが目立った井上は「まだ対応力が足りない。岡田先生は打てるチームにと言っている。あと1~2週間で全員が打てるようにと思っている」と頂点への道筋をにらんだ。【柏原誠】