浜松商が、静岡商との伝統校対決を延長11回の激闘の末に6-5で制し、4年ぶりの準決勝進出を決めた。今大会初めて先発起用された3番山本陸来(りく)内野手(2年)が、2安打2打点の活躍。4回から登板した湖東遼馬投手(3年)は、強力な静商打線を8回5安打1失点に抑えた。

浜松商が雨中の激戦をものにした。5-5の延長11回表1死二塁。山本陸は、初球の真ん中直球に反応。打球は左前へ抜け、左翼手がもたつく間に勝ち越しの走者が生還した。「自分は考え込んでしまうタイプだが、あの打席ではシンプルにいこうという気になれた。それが結果につながったと思う」と振り返った。

昨秋からレギュラーに定着し、公式戦で3本塁打を放った。だが、今春は地区大会から精彩を欠き、本塁打はゼロ。藤枝明誠との県1回戦からは控えに回った。先月29日の日大三島戦(県2回戦)では守備で途中出場。回ってきた打席では、3球三振に倒れていた。この日は左投手対策で起用され、4回に一時逆転となる2点適時打。「持ち味の長打ではありませんでしたが、チャンスで打てて良かったです」と安堵(あんど)した様子だった。

湖東は1失点したが崩れず、得意のチェンジアップを駆使。相手打線に隙を与えなかった。「不安はありましたが、打たれるのは想定内。上位打線の時は気を引き締めて投げられました」。昨冬から投手に転向。草薙球場では初登板だった。「最初はマウンドに慣れなかったが、すぐに修正できた。静商を抑えたことで、また自信が高まった」と胸を張った。

準決勝では、地区大会でコールド負けを喫した浜松工と対戦。山本陸は「しっかり勝って、東海大会出場を決めたい」。湖東は「前回のリベンジをしたい」。16年ぶりの県制覇を目指すチームは、頂点への階段を1歩ずつ上がっていく。【河合萌彦】