16年ぶり15度目の出場となる浜松商(静岡1位)が、愛知黎明(愛知2位)に5-4で9回サヨナラ勝ちを飾った。同点の9回裏2死二塁で途中出場の1番山本陸来(りく)内野手(2年)が、左前への殊勲打を放った。先発の湖東遼馬投手(3年)は、4失点したが9回を投げ抜き、勝利に貢献した。浜松商は、今日の準決勝で菰野(三重2位)と対戦する。初出場の加藤学園(静岡2位)は、3-7で津田学園(三重1位)に敗れた。

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劇的な幕切れで初戦を突破した。好機で打席に入った山本陸は「どんな形でも決めるつもりでした」と、真ん中低めの変化球をはじき返した。走者の生還を確認し、ベンチを指さしながら整列へ。あいさつ後、チームメートから頭をたたかれ「高校では初めてのサヨナラ打。すごくうれしかった」と声を弾ませた。

勝利を呼び込んだのは、エースの力投だった。湖東は、初回に打者2人で失点。厳しい立ち上がりとなったが「焦りはなかった。相手の情報がなかったので、こういうふうに攻めてくるんだという感じでした」。その後は援護をもらいながらも、直後に追いつかれる内容で苦しんだ。それでも「県大会では、打たれる前に四球を出していたが、今日は違った。打たれるのは想定内でした」と話した。

県大会後に柔軟体操の大切さに気づいて実践した。柔軟性を高めたことで、180センチある体格をフル活用できるようになった。その結果、試合終盤になっても、130キロ台の球速を維持。「今までは、中盤以降にその数字を出せなかったので、そこが今日1番の収穫になりました」と満足した様子を見せた。

5回終了後のグラウンド整備中には、鈴木祥充監督(56)から「代わるか?」と聞かれたが、指で「9」を示して続投を志願。延長戦も投げるつもりで準備していたため「サヨナラの瞬間を見逃しました」と頭をかいたが、「今日の勝ちは、チームにも自分にも良い経験になった。明日もチーム全員で勝ちたい」と前を見据えた。【河合萌彦】