<高校野球奈良大会:天理7-1郡山>◇24日◇3回戦◇佐藤薬品スタジアム

春準優勝の郡山が天理に敗れ、3回戦で姿を消した。「最後までやってきたことを貫こう」。相手の選手たちが校歌を歌い終わり、スタンドへ向かう中、郡山ナインは涙を浮かべながら、拍手を送った。

今春から同校を指揮する生島秀峰監督(61)は「野球の技術は何一つ教えていない」と話し、人間的な成長を促してきた。試合当日の早朝、選手たちが球場周辺をゴミ拾いする姿があった。「普段からやっている郡山のルーティンのようなもの」。そんな選手たちがそろって口にする言葉がある。「他喜力」。他人を喜ばせる力という意味だという。池田健太内野手(主将=3年)は「周りの人から応援されるチームになることを目指してきた。そのために野球以外のことでも一生懸命やってきた」と振り返る。培ってきたものは試合にも生かされた。「他喜力を鍛えてきたおかげで、どんな相手でも人間的には絶対に負けない自信がついた」。春は名門天理にコールドで勝利したが、今回はリベンジされた。それでも臆することなく戦い抜いた。甲子園に行くことだけが高校野球じゃない。郡山の選手たちは人として最も大切なことを学んだはずだ。【山崎健太】