13連覇を狙う聖光学院は、シード校2校を下し波に乗る光南を、エース須藤翔投手(3年)が4安打完封した。

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絶対王者聖光学院が、しっかりと定位置にたどり着いた。シード校を撃破し勢いに乗る光南を寄せ付けず、13年連続の決勝戦にコマを進めた。打線が初回から小刻みに加点すれば、エース左腕須藤が4安打完封。斎藤智也監督(56)は「須藤は期待通り。打撃陣はもう一押しが欲しかったけど。守備でも3回に三原(力亜右翼手=3年)が救ってくれた」と納得の表情を見せた。

春にどん底を味わった中、最後の夏にチームが一丸となった。試合のなかった前日、宿舎で控え選手たちから熱いエールが送られた。ベンチ入り選手とマネジャーの21人それぞれにあてたメッセージビデオが流された。清水正義主将(3年)は「控え選手の気持ち、思いをあらためて確認できた。全員号泣でした」と決意を新たにした。斎藤監督も「今までこんなに泣いたチームはないぞ」と驚くほどだった。

須藤は「最高の仲間と少しでも長く野球をやりたい」とボールに思いを込めた。昨夏の甲子園を2年生投手でただ1人経験。登板こそなかったが、先輩たちの涙を忘れない。甲子園で使用した帽子を今大会からかぶっている。「夏はこの帽子でいくと決めていた」。初戦で報徳学園に敗れた先輩たちのリベンジを果たすまで負けられない。

混戦と言われながら、しっかりと勝ち上がってきた。斎藤監督は、「例年とは違う感覚。負けてスタートしたチームなので下克上というか。ふがいなかった自分たち対して、リベンジできるか」と大一番に期待を寄せた。【野上伸悟】