春夏通じて初出場の誉(愛知)は甲子園の雰囲気にのまれ、愛知大会から続く大物食いとはならなかった。

初回、先発の左腕杉本恭一(3年)が3四死球で2死満塁のピンチを招く。制球の定まらない杉本は、八戸学院光星の6番下山昂大内野手(3年)に内角へ甘く入った直球を左翼席へ運ばれた。許した初安打が満塁本塁打。流れを一気に持っていかれる4失点となった。

打線は八戸学院光星2投手の継投に4安打と封じ込まれ、1点を刻むことができなかった。

矢幡真也監督(46)は初回に2死球などで平常心を乱した先発杉本に「普段の杉本の投球ではなかった。自信に満ちあふれたプレーとは離れてしまった。うまく導いてあげられなかった」と甲子園初采配を悔やんだ。春夏通じて20度目、3季連続の出場となる八戸学院光星の投手陣には「狙い球が甘く入ってくるということもなかった。これが甲子園常連校のピッチャーなのかな。(初回に許した満塁弾には)あれが(フェンスを)越えていくというのがやっぱり甲子園というところ」と振り返った。

矢幡監督は90年夏に美濃加茂(岐阜)のエースとして甲子園に出場(初戦敗退)。指揮官として29年ぶりに聖地に戻ってきた。初勝利とはならなかったが、選手たちには「ありきたりですが『ありがとう』しかないですね」と感謝。甲子園での采配は「くせになります」と笑顔を見せた。

自営業で街の電器店を家業としながら、同校の指導を行っている。これからも二足のわらじスタイルは変えることはないと言う。1日、2日の休養日を考えながら「仕事も野球も、再スタートさせたいなと思います」と、前を向いた。