兄弟で臨む最初で最後の甲子園は初戦で終わった。石見智翠館(島根)の関山兄弟。3年生の兄愛瑠斗(あると)は主将でセカンド。1年生の弟和(なごみ)はショートを守り、この甲子園から背番号6を背負った。

いきなり見せ場はやってきた。1回の守備。1死満塁で高岡商6番打者の打球はセカンドの兄愛瑠斗のもとへ。弟のショート和も打球が飛んだ瞬間に動きだしており、鮮やかに二-遊-一の併殺を決めた。

バットでは弟が、まず5回にチーム初安打となる左中間二塁打。6回は先頭打者の兄が中前安打と二盗で好機を演出すれば、その後6番打者の弟が右前適時打。2点を追う9回には1死満塁で兄が同点の左前2点打を放った。

延長10回の末の敗戦。2人の奮闘は、わずかに勝利には届かなかった。

兄は「最後まで楽しい野球ができた。悔いはないです。(弟ら後輩たちは)日本一になってくれる」と言った。兄の影響で野球を始めた弟は「お兄ちゃんと出られた甲子園は最高の時間、最高の経験でした。もっと勝ち進んで一緒の時間を過ごしたかった。お兄ちゃんのようにチャンスで打てる選手になりたい。もっと成長して甲子園で優勝します」。試合時間は2時間57分。敗れたものの、きっとその時間は兄弟の財産になる。