コロナ禍の中で「最後の夏」が始まった。「がんばれ福岡2020 筑後地区高校野球交流大会」が21日、福岡県内で開幕。福岡県独自の代替大会不参加校を救済する公式戦で、「浮羽工-三池工」「輝翔館・ありあけ新世(南筑後連合)-三池工」の2試合が全国に先駆けて行われた。

新型コロナウイルス感染対策のもと、最後の夏を戦った。ベンチではマスクを着用。打席ごとにバットを除菌し、イニング間にもヘルメット消毒や手洗い、うがいを徹底した。ハイタッチは自粛。それでも、ベンチからはマスク越しに大声が飛びかった。2連勝した三池工は、前後2列に分かれて並ぶ“ソーシャルディスタンス校歌斉唱”で2度、勝利をかみしめた。

原則無観客ながら、保護者は入場可。7カ月ぶりという対外試合でハツラツとした姿を見せた選手たちに、三池工の次郎丸岳博監督(32)は「みんな生き生きと思いきりプレーしてくれた。苦しい時期を乗り越え、幸せな時間だったと思う」と目尻を下げた。

福岡県では一時、代替大会開催断念が発表されたが、国や県の後押しなどで4地区に分けて行う方針に転換。今回の交流試合は、7月19日まで筑後地区大会に出場できない学校や部員がいる9チームによる原則1校1試合の5試合が組まれた。敗れた浮羽工の選手の中には、代替大会に参加したいという意見もあった。だが7月上旬からの試験や就職への準備などのため辞退。坂田駿主将(3年)は大敗したものの「もうちょっとやりたかったが、みんなで相談して決めたことなので悔いはないです」と話した。【菊川光一】

〇…三池工は2連勝で花道を飾った。就職に関わるテストと時期が重なるなどの理由で代替大会参加を断念し、1日限りの真剣勝負の場を選択。コロナ禍を吹き飛ばすかのように、自慢の打線が爆発し4本塁打を含む2戦計45得点を奪った。2戦連発の栗原慎治捕手(3年)は「(交流戦で)やりきった感はあるが、夏の甲子園をかけて終わる試合もしたかった」と話した。