古川黎明が初戦で敗退し、唯一の女子部員・宮越姫内野手(3年)の高校野球が、幕を閉じた。規則上、女子部員は公式戦に出場できないため、今大会は記録員として初めてベンチ入りを果たした。3年間、苦楽をともにした仲間と一緒に、最後の夏を完全燃焼した。

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姫の願いは届かなかった。古川黎明は、築館に8-5で敗れたが、同校唯一の女子選手、宮越姫が記録員として高校初の公式戦ベンチ入り。いかなる状況でも大きな声を張り上げ、仲間を鼓舞し続けた。

声援と的確な指示が途絶えることはなかった。走者一塁の場面では「ゲッツー取ろう。バントもあるよ」。外野が連続で飛球をつかめば「守備頼もしいぞ」と激励。背中を押された選手たちは最終回に2点を奪う意地を見せたが、勝利をつかむことはできなかった。宮越は「最後に『このチームで良かった』と思えるくらい頑張れて良かった」と笑顔で、最後の夏を振り返った。

ルール上、女子選手は公式戦に出場できず、記録員はマネジャーが務めるため、過去2年間はユニホーム姿で応援席から声援を送り続けてきた。ただ、今回の代替大会は特例として3年生3人までが記録員としてベンチ入りが可能になった。直前までは、1人の選手として、これまでと同じベンチ外からの応援を考えていた宮越だったが、スタンドからの声出し応援が禁じられていることを知り「私の取りえは声。みんなにも声を届けると話していたので、チームのためにと思って」と、記録員としてのベンチ入りを直訴した。

3年間を選手として過ごしただけに「出られないままベンチで過ごして、悔いが残った。まだ続けるか分かりませんが、大学でリベンジできたら」と宮越。女子野球選手になる夢も視野に、未来へ向かっていく。【相沢孔志】