昨秋の準優勝校・新潟産大付は県チャンピオンを狙う。3年生中心のメンバーでチームを構成し、最初で最後の大会で爆発する。昨秋、本塁打2本を含む5割2分2厘の高打率をあげた遠藤快一塁手(3年)が、自身の高校野球に決着をつける。昨秋に15打点をマークしたチャンスに強い打撃を“特別な夏”に披露する。

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遠藤のバットがミートしたボールはネットを激しく揺らす。ポイントに引き込んで鋭いスイングでとらえるティー打撃。「バットの芯に当たると当たったかどうか分からないくらい、軽く感じる」。その感触を求めてスイングを続けた。本番でも「軽く」安打を製造していく構えだ。

「甲子園に行くために新潟産大付に入学した。それが(新型コロナウイルスの影響で)なくなって、悔しさでいっぱいだった」。そう話した遠藤は燕市の実家から約1時間45分をかけ、柏崎市の学校に通ってきた。東三条駅6時4分発の電車に乗るため、両親に車で送迎してもらっていた。「両親には感謝している。甲子園がなくなって、両親に申し訳ない気持ちもある」。

だからこそ代替の独自大会でも力を抜かない。「最後は県NO・1を取って終わりたい」と言う。準優勝した昨秋は決勝までの6試合で23打数12安打の打率5割2分2厘。2本塁打を放つなど15打点の高い数字を残した。しかし今夏、数字に意識はない。「チームの勝利にこだわっていきたい」と目標の初県王座をひたすら目指す。

冬場は「打球が詰まっても内野の頭を越す」打撃をテーマに練習してきた。ウエートトレーニングでパワーアップを図り、ティー打撃を繰り返した。連続ティーは5球10セットを5回。「相手投手に嫌がられる打者になりたい」と打席で粘るのが理想の形。「昨秋、準優勝の立役者の1人」と吉野公浩監督(53)が高評価する遠藤は、今夏は優勝の立役者になる。【涌井幹雄】

◆遠藤快(えんどう・かい)2002年(平14)7月1日、燕市生まれ。野球は燕南小4年から燕南野球スポ小で始め、燕中時代は少年硬式野球の三条シニアに所属。好きな選手は広島・鈴木誠也。昨秋に捕手から一塁手に転向。右投げ右打ち。176センチ、74キロ。血液型O。