全国高校野球選手権の代替となる都府県独自大会が30日に各地で行われ、8ブロックに分かれて開催されている京都では、全国で初めて行われたブロック決勝で、龍谷大平安が京都成章に7-0で快勝。例年なら8強にあたる時点で夏が終わったが、今秋ドラフト候補の奥村真大(まさひろ)内野手(3年)も“完全燃焼”した。

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異例の夏の最後は、「平安らしく」飾った。7回制、8強止まり。それでもAブロック決勝は3投手の継投で“ノーヒットノーラン“の7-0完勝。原田英彦監督(60)は「バッテリーを中心に守るうちの野球を最後にしてくれた。打線も2死からつながって、一番いいゲームだった」。ナインは夏の公式戦や甲子園出場時に使用するユニホームをまとったが、戦い抜いても甲子園にはたどり着かない。「コロナに目標が奪われたのはやるせない。彼らの気持ちは分かります」。指揮官はそう言って目に涙をためた。

4番の奥村は、チームでただ1人最後まで木製バットを握った。「1人で考える時間が増えて、こういう時間があって今の自分がいる。プロになってやるという気持ちが大きくなった」。独自大会初戦では、本塁打をマーク。周囲の理解も得ながら、懸命にバットを振った。5球団のスカウトが視察したこの日は、4打数2安打。初回に右翼への二塁打で出塁し、2点目のホームイン。3回には盗塁も決めた。「4番である自分が打たないといけないと思った」と振り返る。例年なら8強にあたる時点で夏が終わったが「モチベーションは下がらなかった。勝つしかないので、いい結果が出て良かった」とやりきった表情を見せた。