吹田がまたも、しかもまさかの順延の憂き目にあった。槻の木相手に四球を足場に初回4点、3回裏6点と10-1。序盤でコールド勝ちも視野に入る大量リードを奪った。ところが、雷接近で試合が中断、22分後に降雨ノーゲームとなった。

林恭平監督(27)は「仕方ない。(試合が)延びることもありますよ、人生は」と恨み節を口にしなかったが、残念な思いは想像に難くない。

吹田-槻の木戦は当初、今月20日に予定されていたが、林監督によると試合前日19日に大阪府高野連から「運営上の理由」で順延の報告を受けた。21日には同校がホームページで同校生徒が新型コロナウイスルに感染、休校すると発表。学校再開の30日まで部活動自体がストップした。

二塁手の山田晃志朗主将(3年)は「個人的には“辞退”もありかと思いました。ウチのために、他校に迷惑をかけてはいけないので」と当時の心境を説明する。21日の休校発表時、部員から「野球部はどうなるんですか?」と問われた林監督は「(大阪府)高野連からは“何とか試合をさせてあげたい”と言われている」と答え、部員たちの動揺を抑え、この日を迎えていた。

順延→休校→11日のブランクを経て、9点リードしてノーゲーム…。波瀾(はらん)万丈の夏に山田主将は「アップの段階でメチャメチャ大きな雲が見えた。試合中は“降るなよ”と思ったんですが」と苦笑いする。仕切り直しは1日、同球場。勝てば、V候補の大阪桐蔭戦だ。「最初に組み合わせが決まった時、みんなで“1回勝ったら、大阪桐蔭”と盛り上がりましたけど、目の前の試合に気持ちを切り替えてやってきました」と山田主将。けなげにまたも気持ちを切り替えていた。