8月の西東京独自大会。八王子学園八王子と早実の1回戦で、スカウトの目がブルペンに注がれた。八王子学園八王子・羽田慎之介投手(2年)が、投球練習で力強い速球を投げ込んでいた。プロのスカウトからスピードガンを向けられた。その日の登板機会はなかったが、好投手の存在を知らしめた。

「ありんこ軍団」と呼ばれるチームの中ではひときわ目立つ。身長191センチの大型左腕がついにベールを脱いだ。昭和第一学園との秋季大会2回戦に、公式戦初登板初先発。速球中心の配球で、9回4安打1失点12奪三振と上々のデビューを飾った。

ノビのある直球で空振りの山を築いたが、課題は制球力。この日も6四死球と荒れた。「ゲームメークをしっかりしていこうというつもりだったんですけど、あまり良くなかった」と反省した。

まだ、きちんと球速を計ったことがないという。この日もスピードガンのない球場での登板だった。羽田は「球速は計ったことないです。140くらいですかね」と話す一方で、安藤徳明監督(59)は「コントロールに自信がまだない。多少落とし気味にやっていた」と、この日の投球を分析。独自大会後の練習試合では5試合に登板して好投を連発したそうで、指にかかった時には「150キロ近くの球を投げているのでは」と評価している。

まだ身長も伸びていて、体が出来上がっていない段階。本大会で強豪との対戦を経験して、さらに成長を遂げる可能性もある。安藤監督は「(本大会の)どこかで一皮むけるチャンスがあるかも」と期待した。

大型左腕は「球が速くてコントロールもいいことが理想。来年の夏には150キロを投げたい」と意気込む。チームは16年夏の甲子園に初出場したが、センバツの経験はない。成長をしながら聖地への切符をつかむ。【湯本勝大】

◆羽田慎之介(はだ・しんのすけ)2003年(平15)12月25日生まれ。埼玉県所沢市出身。荒幡小2年時に荒幡ライオンズで野球を始め投手。ライオンズジュニアに選出。山口中では、東練馬シニアに所属し、ジャイアンツカップ準優勝。八王子学園八王子では1年秋からベンチ入り。191センチ、81キロ。左投げ左打ち。