新潟県高校野球界屈指の好打者と好投手が来春、首都大学リーグ1部の桜美林大に進学する。今夏の県独自大会で優勝した中越のスラッガーで前主将の広瀬航大内野手(3年)と、昨秋の県大会を制した北越の技巧派右腕・阿部柚士郎投手(3年)。ともに将来のプロ入りを目指して、4年間勝負する。

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目標達成のために広瀬は大学野球に身を投じる。「子どものころから、プロの1軍で活躍する選手になりたかった。大学で力をつける」。8月に部活引退後、新チーム始動日から後輩たちと練習してきた。入学後、すぐ対応するためだ。

今夏の県独自大会では2本塁打を放った。準決勝の上越戦は1本塁打を含む4打数3安打、2打点、決勝の日本文理戦は5打数4安打。大一番で勝負強さ発揮し、中越を優勝に導いた。広角打法は持ち味で、大学ではパワーをさらに磨く。「どういう球でも思い切り振ってとらえる」とソフトバンク柳田を理想にする。

本田仁哉監督(44)は「信念を曲げないし、1日も気を抜いたことがない」と言う。2年生の時は左足首、右股関節疲労骨折の負傷に見舞われた。今年はコロナ禍で夏の甲子園が中止。目標を失いがちなチームを主将としてまとめた。一昨年夏の甲子園で1年生ながら7番二塁手でスタメン出場し2安打。華やかな甲子園デビュー後は苦しい時期が長かった。それでも心は折れなかった。

「本気で甲子園で優勝を狙っていた。それがなくなったら県で1番を目指した」。前向きでぶれない意志の強さが最大の武器。「来春のリーグ戦に出て首位打者を狙う」。プロ入りにつなげるため、さっそく最初のターゲットを定めた。【斎藤慎一郎】

◆広瀬航大(ひろせ・こうだい)2002年(平14)11月27日生まれ、燕市出身。分水北小1年から軟式野球を始める。分水中では少年硬式野球の新潟シニアに所属し投手と内野手。2年生の時に全国選抜大会に出場。中越では1年の夏からベンチ入り。178センチ、78キロ。右投げ左打ち。

◆桜美林大野球部 1978年(昭53)に準硬式として創部し、09年から硬式の首都大学連盟に加盟。16年に1部秋季リーグで初優勝。同年の明治神宮大会準優勝。今秋リーグ戦は1部5位。現在、県関係では斎藤直弥・学生コーチ(4年、新津)、倉川悟外野手(3年、日本文理)、山本雅樹投手(2年、中越)が在籍する。OBには現役ではロッテ佐々木千隼投手(26)、西武山野辺翔内野手(26)がいる。