第93回選抜高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)に出場する大阪桐蔭が3日、大阪府内の同校グラウンドで練習を公開し、左腕エースの松浦慶斗投手(2年)が東日本大震災の被災を明かした。

「すごく早かった10年だったと思います。小学校1年で全然分からない状態ですが、津波で友だちも亡くして。今まで津波を忘れたことがない」

あの日は宮城・石巻市の門脇小1年生だった。授業が終わり、下校中。通学路を両親が助けにきた。「父と逃げているとき、すぐそこまで津波が来たのを覚えています」。命からがら幼稚園に避難。同じマンションで仲が良い年下の友だちは乗車中だったバスが津波にのみ込まれたと聞いた。

松浦は震災後、親の故郷がある北海道に移った。旭川で力を磨き、いまは大阪で日本一を狙う。智弁学園(奈良)が初戦の相手だ。「(昨秋近畿大会決勝で)自分が打たれて3-7という投手が足を引っ張った点差になった。決勝戦で負けて2度も負けられない」。悔しさも喜びも、生きているから味わえる。

「自分は幸せなのかなと思いました。野球をやりたくてもできない人が、津波の影響でいる。野球をみんなの分まで、自分が代表する感じで、10年間やっています」。身長185センチで最速150キロ。ドラフト候補に成長した姿を示す。【酒井俊作】