常総学院が3年ぶり15回目の春季茨城大会を制し、島田直也監督(51)にとって、初のタイトルを獲得した。

島田監督が目指す「つなぐ野球」を初回から徹底した。初回、1番鹿田優外野手(2年)が甘く入ったスライダーを左前に運びチャンスをつくると、2番田中隼人外野手(2年)が手堅く犠打で送った。四球を挟み一死一、二塁とすると、4番の田辺広大捕手(3年)の中越え適時二塁打で2点を先制。この回、打者一巡の猛攻で8点を挙げた。

2回に先発の秋本璃空投手(3年)が打ち込まれて4点を失ったが、効率良く得点を重ね、14安打18得点での大勝。島田監督は昨年7月下旬に母校の監督に就任したが、秋の県大会では準優勝に終わっていた。この大会で監督として初めての優勝旗を手にし「初回、鹿田がいい入りをしてくれた。今日の選手たちは本当に気合が入っていた。つないでいこうという意識が、いい形になったのかな」と振り返った。

選手たちは、指揮官の熱い思いを受け、試合に臨んでいた。試合前、選手たちに自らの高校時代の経験を話した。

「俺の高校時代は、2年秋は県準優勝でセンバツ出場。春は優勝で関東大会に出場した。大会は今回と同じ、山梨県だった。その勢いで夏も県で優勝して甲子園で準優勝できた。君たちとは縁を感じる。この先も、君たちと一緒に歩みたい」。奇遇にも、昨秋から同じ結果を残しながら歩んでいるチームと自身の高校時代を重ね合わせ、期待した。

その思いに、選手たちが応えた。強く低い打球でつなぐ野球を徹底。8回には三輪拓未内野手(3年)の左越えのソロ本塁打も飛び出した。島田監督は「ホームランはヒットの延長戦。技術も体力も上がっている証拠ですね」と、選手の成長に目を細めた。

試合後、島田監督はチームの集合写真に優勝旗を手にして加わった。「勝って写真を撮るのはうれしいですね」と目尻を下げた。【保坂淑子】