春季高校野球宮城県大会が今日13日、開幕する。昨春は地区予選~東北大会がコロナ禍で中止に。今年も地区予選はなくなったが、全63チームが県大会に参戦する。今春に芳賀崇監督(37、前村田高)が就任した仙台東は同日、南三陸町平成の森野球場で塩釜との初戦に挑む。高校時代は仙台育英でプレーし、エース左腕として01年春のセンバツでは準Vを経験した指揮官が、今季初勝利に導く。

   ◇   ◇   ◇

転任から1カ月半。芳賀監督が、新風を吹かせる。前任の村田高では6年間指揮し「(仙台東と)毎年2回ほど練習試合をしていた。県大会の常連校で力のある選手が多いという印象を持っていた」。同校は05年春に過去最高の県4強で東北大会に初出場し、昨夏の独自大会は16強入り。16年ぶりの県4強へ、グラウンドは熱を帯びていた。

選手たちには主体性を求めている。「やらされている練習ではなく、主体的に練習してほしい」と、個人の強化や課題克服を目的に、全体練習後に30分~1時間の自主練習時間を設ける。守備力向上を目標に掲げる遊撃手の高橋佳瑶主将(3年)は「芳賀先生から捕球体勢や送球のアドバイスをいただいた。以前より改善されて、とてもいい送球ができるようになった」と成長を実感。今季初の公式戦に向け「緊張もあるけど、とてもワクワクしている。普段から熱心にご指導してくださっているので、公式戦勝利で恩返ししたい」と語気を強めた。

仙台東には深い縁を感じている。高校時代5回中4度の甲子園出場を経験したが、1年秋は仙塩地区大会のリーグ戦で仙台東に敗れ、唯一センバツ切符を逃した。当時を選手に説明し「(相手は)みんなの20年前の先輩だ。みんなは過去最高の成績を目指しているよね? 20年前、僕たちに勝った先輩たちよりも強くならないといけないんだよ」と鼓舞。自身は「今度は仙台東を率いて県内の強豪と戦うことを考えると、縁のある公立高校で指導させてもらえる」と感慨に浸った。

高校時代の同級生には仙台育英・須江航監督(38)らがおり、母校は今春のセンバツ8強と後輩からも刺激を受ける。「対戦は楽しみ。でも目標を決めるのは子どもたち。彼らの目標につながる練習をしていこうと話をしているので」と、選手第一という姿勢は変わらない。まずは初戦突破へ、選手には「不安や楽しみはあると思う。たった1カ月だが、内容の濃い練習をしてきたので、存分に試合を楽しんでほしい」と躍動を期待した。【相沢孔志】