県内有数の公立進学校、福島が勢いに乗ってきた。13安打6得点で二本松工に逆転勝ち。先発した背番号3の佐々木環(かん)内野手(3年)が7回を7安打1失点の好投。テンポ良く打たせて取る投球で、無四死球と抜群の制球力を披露した。打っては「7番」で決勝打を含む2安打2打点の大活躍。11日には、昨秋地区予選で敗れた学法福島に2-0で勝利。夏本番前に力をつけてきた。

頭脳派右腕・佐々木が、堂々の投球を見せた。82球で7回1失点。3回に先制点を許すも、120キロ台の直球に変化球を織り交ぜ、内外角に投げ分けた。4回以降は2安打に封じ込め、無四死球で終えた。「状態は良くなかったけど、まとめることができた」。奪った全21アウト中17個を打たせて取った。「真っすぐの球速よりも、スピンを意識している」。伸びのある直球を武器に、9個の飛球アウトも積み重ねた。

ここぞの集中力で好機をものにした。1-1の6回1死二、三塁。カウント2ストライクからの3球目。真ん中高め直球をジャストミート。打球は中前で弾む勝ち越し2点適時打。「同点の場面だったので、自分が打って、逆転するつもりで打席に立った」。一塁上で右手拳を突き上げた。さらにこの回、打者一巡の猛攻で一挙5得点。「常日頃から勉強と野球、短時間の中でも、集中して取り組んでいる」。6回まで4安打無得点も、ワンチャンスで試合を決めた。

県内屈指の進学校として知られる。週4日は7時間授業があり、学業にも一切手を抜かない。そのため、平日の練習時間は限られた中で工夫を凝らす。「考えながら、効率良く練習する必要がある」と、選手同士で意見を出し合いながら、最善を尽くす。

今大会は夏本番前最後の公式戦。県北地区王者だけを見据える。「秋も春も県大会に出られなかった。自分たちのプレーをやって、優勝する」と意気込んだ。文武両道ナインの躍進は、まだ始まったばかりだ。【佐藤究】