2年ぶりに夏の聖地をかけた戦いが始まる。第103回全国高校野球選手権(8月9日開幕、甲子園)の南北海道・札幌、北北海道・釧根地区の組み合わせが15日、決まった。

今春センバツ出場の北海左腕エース木村大成(3年)は、OBの巨人鍵谷陽平(30)から贈られた回転数などを測るハイテク測定機「ラプソード」の数値を用い、球威を上げる感覚と調整法を磨いてきた。進化した北の豪腕が、道勢では13年北照以来の春夏連続甲子園を狙う。

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春からスキルアップした最速148キロのプロ注目左腕が、再び聖地を目指す。組み合わせが決まり北海の木村は「最後の夏が始まる。とても楽しみな気持ち。センバツでは4元号勝利を果たせなかった。もう1度、あの舞台に戻り、今度こそ甲子園で勝てる投手になりたい」と意気込んだ。

尊敬する先輩の贈り物を最大限活用している。春夏連続甲子園出場を願う巨人鍵谷から、5月にボールの回転数や回転軸を測定するラプソードが届いた。木村が1年時に別の機材で回転数を測定した際は直球が1分あたり1500回転、スライダーが2500回転。“新マシン”で5月に測定すると直球2400、スライダー2800回転と、数値が上がっていた。成長を感じ「直球、スライダーとも、このまま伸ばしていけばいい」と手応えを得た。

数値を分析しながら最高の切れを生む調整方法も導き出した。鍵谷の同期で、現役時代捕手を務めていた立島達直部長(31)が広島の専門家の元を訪れ、3泊4日でデータ解析法を学びサポート。投球前の練習メニューごとに回転数を測り、同部長は「下半身の柔軟性を上げてから投げるのが木村には合っている」と突き止めた。肘の位置や手首の角度も微調整しながら理想の球を追求し、木村は「一番いいリリースの位置も、つかめてきた」と強い口調で話した。

今夏の南北大会から、昨年まで1日だった準決勝前の休養日が5日に増える。昨秋全道は、決勝まで6日で5戦(降雨中止の1試合を含む)に登板し計400球を超えたが、休養日拡大で、1週間500球の規定に抵触する可能性は極めて少なくなる。「マウンドは誰にも譲りたくない。5日空けば疲労も取れる。最後まで投げきりたい」。北海としては11年以来10年ぶりの春夏連続甲子園へ、気持ちも球威も研ぎ澄ませていく。【永野高輔】

▽北海の宮下朝陽主将(3年) センバツも春全道もサヨナラ負けを喫した。最後に勝ちきれる気持ちの強さを持って臨みたい。

◆北海道勢の春夏連続甲子園 9校が達成し、南北海道勢では北海の7度(38、53、54、60、62、64、11年)が最多。函館大有斗(74、97年)、駒大苫小牧(03、05年)、北照(10、13年)が2度。ほかに52年函館西、72年苫小牧工、75年北海道日大(現北海道栄)、78年東海大四(現東海大札幌)。北北海道勢は08年の駒大岩見沢で、南北海道に属していた83年と合わせ2度達成した。