県内屈指の進学校、秋田がサブマリンと速球派の両右腕による継投で、湯沢翔北に2-1で競り勝ち、3年ぶりの8強を決めた。公式戦初登板のアンダースロー富樫賢暉(よしき)投手(2年)が、8回2/3を1失点の粘投。最後のアウトは最速144キロのエース石井夢沙士(むさし、3年)が3球三振で締めくくった。

緩急で揺さぶり、打者のタイミングを外した。富樫は92キロから113キロのボールを操り、9安打を浴びながらも、9回の内野ゴロによる1失点に封じた。「こういうピッチングをするのが僕の役目なので、満足している部分はあるが、最後の打者までアウトに取れなかったのは、まだまだ力不足です」。同回には1死後、四球と二塁打で好機を広げられて失点。降板後は三塁の守備についた。

富樫は湯沢翔北と今春行った練習試合でも6回1失点と好投した。直近で対戦した相手に対し「強く振らせない、タイミングを外すことを考え、8割ぐらいはできたと思います」。7回2死二塁で初めて得点圏に走者を背負い、8回は2死一、二塁のピンチを迎えたが、丁寧な投球でそれぞれ三振、右飛で切り抜けた。

石井がエースの職務を全うした。9回2死三塁、「俺に任せろ」とマウンドに上がり、2球で早々と追い込むと、最後は142キロの直球で空振り三振。先発富樫との球速差は最大50キロにも及んだ。「相手の粘りがすごくて、気迫も伝わってきたが、気持ちで負けてはいけないと思って、最後は真っすぐ3球を投げました」と魂を込めた投球だった。

18日の準々決勝では、第1シードのノースアジア大明桜と対戦する。石井は「どの高校も『打倒明桜』でやっていると思う。自分たちピッチャー陣が、どれだけゼロに抑えられるかが勝負のカギになる」。春夏通算24度の甲子園出場を誇る「秋高(しゅうこう)」が、優勝候補に待ったをかける。【山田愛斗】