センバツ4強の中京大中京が投打に力を発揮し5回戦進出を決めた。1点を先制された直後の3回に2安打と盗塁、犠牲フライで逆転。6回には2番の桑垣秀野(しゅうや)外野手(3年)がソロ本塁打を放つなど追加点を重ねた。先発の大矢琉晟(りゅうせい)投手(3年)は9回3安打1失点で公式戦初完投。「終盤球威が落ちていたけど、気持ちで投げた」と汗を拭って振り返った。

大矢の持ち味は特徴的なフォームの横手投げだ。独特のリズムで打者のタイミングを外す。元々は最速142キロの上手投げだったが、転機があった。

今春のセンバツでチームは4強に進出したが、大矢は1度も甲子園のマウンドを踏むことなく大会を終えた。「自分の色を出していかないと」。高橋源一郎監督(41)の言葉に一念発起した。同大会1回戦で対戦した専大松戸(千葉)・深沢鳳介(おうすけ)投手(3年)の横手投げの投球を見て「これだ!」と思った。「最初は制球に苦しんだが、だんだん打者の反応が良くなってきた」と手応えを感じ、横手投げでの最速は141キロを記録するまでになった。

試行錯誤を繰り返し、たどり着いたマウンド。絶対的エース畔柳をはじめ、強力投手陣に新たなピースが加わった。【山崎健太】