日本文理が意地の追い上げを見せた。4-8の9回裏無死一、三塁から暴投で1点を返すと、続く1死一、三塁から5番岩田大澄(3年)が左前に適時打。最後は併殺で1歩及ばなかった。だが09年夏の決勝、中京大中京戦で9回2死から5点を奪って9-10と迫った時と同じように伝統の粘りを披露した。

昨秋は県大会8強、今春は4回戦と現チームになってから県の頂点が遠かった。夏の県大会はノーシード。そこから勝ち上がっての甲子園だった。渡辺暁仁主将(3年)は「(2年生の)田中(晴也)玉木(聖大)がたくさん話してきてくれた」と上級生、下級生の区別のないチームワークを成長の要因に挙げた。

「3年生が頑張って連れてきた甲子園。下級生が粘り強さを引き継がなければ」と鈴木崇監督(40)は言う。エースの田中はこの試合で自己最速の147キロをマーク。6番の玉木は左翼に2ランと主力の2年生は大舞台で実力の一端を見せた。「来春、来夏とチャンスが2回ある。そこで勝って欲しい」。目標は09年を越える全国制覇。渡辺主将は後輩に夢を託した。

 

○…6番玉木が追い上げムードに火をつけた。4回裏1死一塁から左翼席に運ぶ。「打った瞬間、入ったと思った」。聖地で放った自身の公式戦2号は最高の感触だった。この日は17歳の誕生日。友人たちから多くの祝福メッセージが届いた。「お祝いが力になった」。ただ、それ以上に悔しさが残った。この日は4打数3安打も打点は本塁打のときだけ。「もっと試合に役立つ打撃をしないと」と表情を引き締めた。