「ドラゴン桜」の作者で漫画家・三田紀房氏(63)が15日、花巻市総合体育館(岩手)で「ドラゴン桜と岩手と」の演題で約1時間の講演会を行い、花巻東の全校生徒約720人と保護者、教職員らが耳を傾けた。

自らの経験を踏まえて、金言を授けた。「人は何かのきっかけで急激に変わることがある。あと20年、30年もしたら、自分が思っている人生と劇的に変わっています」と、投げかけた。三田氏自身も「自分が高校生の時に、漫画家になっているとは、全く想像もしていなかった」と明かした。その何かのきっかけとは? その答えは1つだ。「人生の劇的な変化が訪れる時は、必ず人と出会っている。その出会いがすごくチャンス。つまり運です。そこで会った人が5年後、10年後、自分に劇的な変化を与えてくれることがある。人との出会いは大切にしてほしい」。人生におけるターニングポイントには、必ず人とのつながりがある。一期一会の大切さを熱心に伝えた。

講演会後は同校野球部のOBで、今春3度目の挑戦で同校史上初の東大に合格した大巻将人さん(文科2類1年)とのトークショーを開催。大巻さんは「挑戦してみる。やってみることが大事。なにかを目指して一生懸命取り組み、そこで失敗した時に、いかに自分と向き合えるか。頑張ろうと決めたことには、必死になってやってほしい」と、在校生にエールを送った。

三田氏は岩手・北上市出身で、母校は同校野球部の佐々木洋監督(46)と同じ黒沢尻北卒業生という縁がある。センバツ準優勝した09年春から親交関係にあり、「ハナトウ愛」にあふれている。「花巻東の野球部をずっと追っかけている状態です(笑い)。(花巻東の野球は)言葉は悪いですけど田舎くささが残っている。ふるさとを感じさせてくれる、個人的には好感を持てるチームだと思っています」。今秋の東北大会を制し、明治神宮大会では4強入り。来春センバツ出場は濃厚だ。「非常に楽しみにしています。全国制覇をしてもらいたいと願っています」と球春到来を待ち切れない様子で、大きな期待を寄せた。【佐藤究】