和歌山東が春夏通じて甲子園初勝利を挙げた。土壇場の延長11回無死一、二塁。主砲の森岡颯太内野手(3年)の右前適時打で勝ち越した。

さらに満塁機で此上平羅内野手(3年)が右前に2点適時打を放って加点。一挙7点を奪い、突き放した。米原寿秀監督(47)は「新しい1ページを刻んだ。ほめたい。この子たちはベスト8を目指しています。正直うれしいですが次があります」と話した。

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先発麻田一誠投手(3年)は右横手からの投球術で相手打線を幻惑し、7回まで1失点。8回1死一、二塁のピンチを招くと、左腕の田村拓翔投手(3年)に継投。上位打線を抑えて危機を脱した。9回は再び麻田がマウンドに戻り、クリーンアップを3者凡退。小刻みな継投で相手に追加点を許さなかった。麻田は「投手→二塁→遊撃→投手→右翼→投手」とめまぐるしくポジションを変更。投手陣の柱としてグラウンドに立ち続けたが「70点です。最後まで投げきれなかった」と手放しで喜ばない。

麻田は実に4ポジションをこなした。二塁と遊撃は練習試合で守ったことはあるが公式戦は初めて。「自分も外野だと思っていた。内野に行けと急に言われました。どこを守っても、自分がやってやろうと」と本人もビックリ。8回途中は二塁から遊撃に守備位置が変わった。米原監督は「相手打者の打球方向をイメージして、できるだけ飛ばないところに」と理由を説明し「ウチは何でもあり。思い切ったことをやります」と続けた。データに裏打ちされた奇策がハマッた。

10年に軟式から移行して硬式野球部を創部。13年目で悲願の初白星を挙げた。【酒井俊作】