札幌地区は、昨秋全道4強の東海大札幌が大麻を9-3で下し、初戦突破した。背番号9の主将、唐川侑大捕手(3年)が、3点ビハインドの1回1死二塁から左越え2ラン。公式戦5号となる1発で反撃のスイッチを入れると、勝ち越し直後の5回から投手として登板し5回無安打無失点、15人切りの快投で勝利に貢献した。プロ注目の最速149キロ左腕、門別啓人(3年)は登板しなかったが、主将として投打でチームをけん引した。

唐川が打って投げて勝利に導いた。まずは豪快な1発で打線に火を付けた。3点奪われた直後の1回1死二塁、1ボールからの2球目、甘く入ったスライダーを迷わずに振り抜いた。「少し切れるかと思ったが、伸びてくれた。打ち抜けたのが良かった」。左翼スタンド奥の緑のフェンス近くまで飛ぶ約110メートルの大きな公式戦5号2ランで、反撃ののろしを上げた。

4回に2点勝ち越すと、5回からは投手として仁王立ち。5回に四球で1人走者を出すもけん制で刺し、9回まで5イニングを無安打、打者15人で打ち取った。最速145キロ右腕は「特に真っすぐが良かった。状況に応じてクイックを使ったりできた」。硬くなりがちな22年初の公式戦。序盤は劣勢も投打の軸としてムードを変え、大脇英徳監督(46)も「(本塁打は)ナイスバッティング。投球も間を外そうとしたりしていて、良かった」とねぎらった。

昨秋全道は背番号2も、今春は9。捕手、投手、外野手と3役兼務も、練習の比率は「捕手6割、投手3割、外野手1割ぐらいの感じです」。この日、プロ注目のエース門別が1度ブルペン投球に出たが登板はなし。終盤、点差が開いたこともあり「チーム状況に応じて流れを引き寄せるのが役目」と、1年秋から経験している投手&捕手“二刀流”で、試合を締めた。

昨秋の全道大会は優勝したクラークに準決勝で1-5で敗れ、センバツ切符を逃した。「最初のストライクに手が出ずフライも多かったり。冬場はそういうところを課題にしてきた」。ファーストストライクに反応し22年1号。敗戦を糧に進化した姿を披露し、頂を目指す。【永野高輔】