近江(滋賀)は山田陽翔投手(3年)の投打にわたる活躍で完勝した。

28日の準決勝では大阪桐蔭と戦う。大敗したセンバツ決勝のリベンジに臨む。

「4番投手」で出場した山田主将は初回からアクセル全開だった。まずマウンドで2三振を奪い、勢いをつけると、その裏2死一塁から内角球を強振。左中間を抜く二塁打で、先制点を奪った。相手のミスに乗じて三塁もおとしいれた。

投、打、走とアグレッシブにチームを引っ張った。圧倒的な存在感はグラウンドだけではない。多賀章仁監督(62)は「今日は私、何もしていません。円陣にも1度も入っていない。山田が全部やってくれたので。監督よりも冷静でした」と苦笑いした。

投手交代の「タクト」も山田自身が握っていた。5~6回程度で星野世那投手(3年)につなぐ戦前のプランだった。だが点差は3点。7回、相手は2番からの好打順。山田の球数はまだ70球。確実に勝つためにはエースの続投が定石だが、多賀監督は「もう1回いくか?」と聞くと右腕は「いえ、7回から星野でいけます」と即答した。

結果的には6回の攻撃で3点を加え、セーフティーリードになったが、予定通り星野に継投。山田はこの試合だけでなく、星野の成長とチーム力アップのために、予定通りの継投を訴えた。左腕星野は残り3イニングを無失点。しっかりと意地を見せた。

次は大阪桐蔭との再戦だ。センバツ決勝では1-18と完敗した。山田は決勝前日の浦和学院(埼玉)戦で右足に死球を受けながら延長11回、170球で完投。決勝も志願して先発したが、ケガの影響で3回途中4失点で降板した。昨夏の甲子園は2年生エースとして6-4で下していた。

「自分からすれば1勝1敗。3戦目なので絶対に勝ちたい。よく知っている彼らの実力からすれば(大阪大会は)優勝すると思っていた。センバツでは全国1位の壁の高さを知った。あれで僕らがどう変わったのかが、モロに出る試合になる。新たな節目になる。やるからには真剣勝負。今回はコンディションもよく、思い切り当たれるので楽しみです。腹をくくっていきます」。

甲子園ではない春季大会でも、ガチンコ勝負を挑むつもりだ。【柏原誠】

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