甲子園春夏通算66勝を誇る早実(西東京)が、「原点回帰」のスローガンのもと、15年以来の王者を目指す。寿田(すだ)悠毅主将(3年)は「自分たちは力がない分、泥臭く戦いたい」と、最後の夏への決意を誓った。

グラウンドの左中間に位置するスコアボードには、「原点回帰」の4文字が掲げられている。新チーム発足後、今の3年生が話し合って導き出した。

現日本ハムの清宮幸太郎の弟・福太郎(現早大)らが主戦だった昨夏のチームは、寿田が2年生で唯一のレギュラーだった。「僕たちは先輩たちのような迫力のある野球はできない」。新チームは小柄な選手が多かったため、細かな野球を徹底しようと決めた。下級生がやりやすい環境を整えるため、練習の準備は上級生が率先するように共有した。プレーも、練習態度も、原点回帰を心がけた。和泉実監督(60)も「コロナで練習時間などに制限がある中、3年生は飢えた気持ちで練習に取り組んでいる」と評価する。

昨年の秋季東京大会は2回戦で関東第一に0-6の完封負け。雪辱に燃えた今春は、4回戦で帝京と対戦。1安打に抑えられ、0-13で5回コールド負けを喫した。寿田は「完膚なきまでにやられて悔しかった。どうにかしないと簡単に夏が終わる」。最後の夏に向けて、目の色を変えて練習に励んできた。

3年生は入学時から新型コロナウイルスの影響を受けた世代。今年1月から2月中旬にかけても、全体練習の停止を余儀なくされた。それでも下を向くことなく、お互いに声をかけ合って、自主練習に努めてきた。寿田は真っすぐな目で言い切る。「目標は西東京を優勝して甲子園へ行くこと。足もとを固めてやっていきます」。7年ぶりの甲子園へ、早実が泥臭くグラウンドを駆ける。【藤塚大輔】