鹿島学園の高久塁捕手(3年)は昨夏の悔しさを晴らすため、連覇に挑む。第104回全国高校野球選手権茨城大会(7月9日開幕)の組み合わせ抽選会が22日、水戸市内で行われた。

あの1球をどう思うかー。鈴木博識監督(71)の言葉を胸に刻み練習に励んできた。「1球がすべてだった」。昨夏の甲子園大会1回戦で盛岡大付と対戦。4回2死一、二塁。「ストライクが欲しかった」と配球した内角直球がシュート回転し3ランを被弾。流れが変わり敗戦した。試合後は食事も喉を通らず、夜は一睡もできなかった。「投手に申し訳ない」。テレビから流れる甲子園のハイライトシーンをぼんやり眺め、涙が頬を伝った。

昨冬は2年間の配球を見直した。ブルペンに入り投手の気持ちも理解した。「自分勝手な配球だった」。投手の気持ちに寄り添い相手打者の分析に生かした。昨夏の敗戦後、気持ちを切り替えるためミットのヒモを付け替えた。甲子園のにおいが残るヒモは、自宅の引き出しにしまった。「必ず甲子園に戻る」。いい思い出に塗り替え、笑顔で引き出しを開ける時がくる。