<シン・うるうるマン:室蘭東翔・新屋陽己(はるき)中堅手(3年)>

野球の面白さを存分に堪能し、最後の夏を終えた。初回2死から右前打、3回2死二塁からは四球で出塁し、2点目の生還も果たした。5回2死からは中前打を放ち二盗と、全打席で爪痕を残した。初戦の室蘭工戦でも1安打放っており、2戦5打数3安打の活躍に「いい当たりのヒットも打てた。やっぱり野球は楽しい」と笑顔で話した。

登別富岸小1年からサッカーを始め、登別緑陵中3年ではボランチとして全道大会にも出場した。だが高校進学と同時に「父とキャッチボールをしていて、いつか高校野球をやってみたいなと思っていた」と、意を決して野球部に入った。

50メートル6秒台の俊足とサッカー仕込みの運動能力を生かし1年春からベンチ入りも、最初は三塁コーチャーの指示を理解できず「回れ」のサインで、止まってしまい、先輩に注意されることもあった。「みんなが丁寧に教えてくれたからここまでやれた。野球を通じて礼儀も学ぶことができた」と振り返った。

夏の大会前には橋本ららマネジャー(3年)から、11人それぞれのグラブを模したお守りを贈られた。「いつも応援してくれる。本当にありがたい。最後の夏、1勝とヒットで恩返しできたかな」。卒業後は消防士を目指す。「硬式野球は最後ですが何かの形で野球は続けたい」。全力で駆け抜けた夏の余韻に浸りながら、新たな人生に踏み出していく。【永野高輔】