昨夏準優勝の大崎(長崎)が再逆転で初戦を突破した。1回裏に1点を先制したが、2回表に3点を奪われる思わぬ展開。6回までに追いつき、8回裏に2点勝ち越したのはシード校の地力だろう。

夏の大会初戦の難しさを感じさせられた。田栗慶太郎主将(3年)は、個人としては苦さを味わった。先発マウンドに上った183センチの右腕は、初回に3連続三振を奪ったが、2回に落とし穴が待っていた。四球、死球に2安打、暴投が重なって3失点。3回途中で降板して一塁に回り、打撃でも2打席目までヒットなし。ただ、主将としては面目躍如の場面がやってきた。無死で走者が出た6回と8回に、2度とも犠打を確実に決めた。「流れをもってきたかったですから」と、派手さはなくともチームを引っ張った。

試合前のシートノックで山口剛大三塁手(3年)がボールを口の右上部に当て、応急手当てを受けるアクシデントもあった。その山口は3安打と1犠飛で3打点。「試合中に痛みは感じませんでした」と頼もしい。百戦錬磨の清水央彦監督(51)が「久しぶりに夏の初戦の難しさを感じました」と振り返ったが、この1勝で硬さがとれれば、頂点への道は開ける。山口は試合後病院へ向かい、3針ほど縫った。腫れ上がった右唇が癒えるとき、大崎ナインに初の夏甲子園が見えてくる。【宇佐見英治】