夏の甲子園連覇を目指す智弁和歌山が日高高中津分校を5回コールドで下し、5大会連続で県4強に進んだ。

先発のエース塩路柊季(しゅうき、3年)が4回まで投げ、無安打無失点。打線も初回2死無走者から4安打で4点を先制した。5-0の4回には渡部海(かい)捕手(3年)の3ラン、山口滉起外野手(3年)の満塁弾などで一気に10点を追加。圧倒的な強さで、甲子園出場にあと2勝とした。

山口は今春の近畿大会決勝の初回、今春センバツ決勝の勝利投手、大阪桐蔭・前田悠伍(2年)から左翼へ先頭打者アーチを放った。夏の和歌山大会終盤戦のこの日も、左翼へ豪快なグランドスラムをかけた。

昨夏は和歌山大会準々決勝の翌日の練習中に右肘を骨折。背番号10のベンチ入りメンバーだったが、甲子園はスタンドから仲間の活躍を見守った。「以前から違和感があったんですが、投げていたら折れました。もうどうしようもなかったです」。ケガへの悔しさを募らせる中、中谷仁監督(42)から「ケガをプラスに替えられるように。ケガしてマイナスになるのではなくて、ケガしたあとにしっかりトレーニングして(チームに)帰ってこい、と言われました」の言葉を守り、体を作って不動の「1番左翼」としての今を迎えた。

満塁弾を見届けた中谷監督は「昨年の夏は肘の故障で1人、家から応援という形になったので、この夏にかける思いは彼は大きいものがあると思う。本当にうれしく思います」と、ケガから立ち直った山口の心中を思った。