ノーシードの聖望学園がAシード浦和学院を1-0で下し、13年ぶり4度目の夏の甲子園出場を決めた。

岡部大輝投手(3年)が虎の子の1点を守り切り、9回4安打無失点で完封。センバツ4強だった浦和学院の夏の甲子園2年連続出場と県大会5季連続優勝を阻止した。エースの好投で147チームの頂点に立ち、聖地への切符をつかみとった。

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大粒の雨が降りしきる中、岡部の緊張感が高まった。9回、先頭に四球。江口生馬捕手(3年)から「負けるな」と声をかけられた。1死一塁、外角への変化球で最後の打者を併殺に打ち取り、マウンドには仲間が駆け寄ってきて喜びを分かち合った。「打ち取った実感はなかったけど、中心に自分がいられたのでうれしかったです」と話した。

雪辱を果たした。昨夏、初戦の2回戦で浦和学院と対戦し2回途中から2番手で登板。満塁弾を浴び4-11でコールド負け。「負けてから2週間、打たれたシーンが夢に出てきた」。浦和学院に対するリベンジの心は人一倍強かった。

同時に浦和学院のエース宮城の投球に目を奪われた。テンポ、打ち取るタイミング、コントロールのよさに憧れ、目標の存在になった。少しでも近づくために、苦手な冬のランニングトレーニングも全力で乗り越えた。

1年ぶりの宮城との投げ合いを「気持ちで負けないように攻めた」と制した。「超攻撃型野球」を掲げる浦学打線を4安打に抑え完封。三塁を踏ませたのは2、3回の2度で「ヒットを打たれた打球以外は全部良かった」と笑顔。岡本幹成監督(60)も「一生に1度のピッチング。岡部の好投しかない」と絶賛した。

チームメートからは「普段は天然で会話がかみ合わない」と言われるが、マウンドでは頼れるエース。今度は甲子園のマウンドで躍動する。【星夏穂】

◆聖望学園 1951年(昭26)創設の私立校。野球部は1980年(昭55)創部。生徒数は900人(女子450人)。部員数は86人。甲子園出場は夏4度目、春1度。主なOBは元中日の門倉健、元ヤクルトの小野公誠、元阪神の鳥谷敬ら。飯能市中山292。関純彦校長。