劇的サヨナラ勝利で聖地への切符をつかんだ。横浜(神奈川)が東海大相模との天王山を制し、2年連続20度目の夏甲子園を決めた。先発の2年生エース・杉山遥希投手が9回2安打完封勝利。二塁すら踏ませない圧倒的な投球だった。打線は0-0の9回2死二塁、6番萩宗久外野手(2年)が右前へサヨナラ適時打。2年生コンビの活躍で、激戦区神奈川の王者に輝いた。

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名門・横浜の「背番号1」にふさわしい投球をみせた。先発左腕・杉山は9回を96球で封じ込み「マダックス」を達成した。今大会6試合で48得点の強力打線相手に、直球、スライダー、チェンジアップの3球種のみ。「特徴を研究しました。いわゆる心理戦じゃないですけど、うまくはまりました」。長打も許さなかった。

投球フォームに工夫をこらした。普段はノーワインドアップで投じる杉山だが、この日は打者を追い込むと無走者でもセットポジションのクイック投法を選択。「東海大相模はストレートに強い。タイミングを崩して抑えるのが今日のテーマでした」。130キロ台中盤の直球を最大限に生かすためだった。大会前に元監督・渡辺元智氏(77)から伝えられた金言「間を大事に。同じテンポだと相手に合ってしまう」を体現した。

力投に同級生が応えたのは0-0の9回。2死二塁で6番萩が打席へ。「(杉山)遥希が頑張ってくれていた。自分も打たないと」。オフの日はいつも一緒に杉山と遊びに出る。そんな仲間を助けたかった。2球目を右前へ落とし、二塁走者が生還。歓喜の瞬間が訪れた。

選手とともに涙を流した村田浩明監督(36)は「杉山しかいないという気持ちで起用しました。萩はチームで一番練習する。彼を成長させる一打になったと思う」と、手放しで喜んだ。激戦170チームの頂点に立った最強たち。次は全国で大暴れする。【阿部泰斉】