帝京長岡が新潟産大付に8-0で7回コールド勝ちした。公式戦初先発の茨木佑太投手(1年)が7回を1安打無失点。7回2死まで無安打の好投だった。ドラフト候補の兄秀俊(3年)が夏まで背負っていた背番号「1」を受け継ぎ、新チームの初勝利に貢献した。

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左手を高々と突き上げるダイナミックなフォームで帝京長岡の1年生右腕、茨木は躍動した。「制球が定まらず、調子はよくなかった」と5四死球を反省も、「カーブでカウントが取れたので、打たせて取った」。奪三振は4も凡打の山を築いた。

後悔もあった。7回裏2死まで無安打。7回コールドとなる展開で、参考記録ながら無安打無得点にあと1人まで迫っていた。だが、2死から四球で走者を出すと、次打者に左中間へ二塁打を許した。四球の走者を三-本塁間の挟殺プレーでアウトにして失点は免れたが「最後は甘く入ってしまった」と1安打を悔やむ。もっとも、稲元智監督代行(49)は「これも次に頑張るモチベーションになる」と好投を評価した。

夏の県大会3回戦の佐渡戦で公式戦初登板。先発の兄秀俊(3年)から継投して3回無失点だった。この日はそれ以来の公式戦登板で、先発は初。背負ったのは兄から引き継いだ背番号1。秀俊からは試合前に「気負うなよ」と激励された。その言葉に「重圧もあるけど刺激になる」と力をもらった。

現時点の最速は130キロ台前半。187センチ、85キロの体に詰まった潜在能力に、すでに注目するプロのスカウトもいる。今秋のドラフト会議で指名が期待される兄と同様に「将来はプロが目標」と言う。その前に成し遂げたいのが、チームの甲子園初出場だ。

今夏の県大会決勝、帝京長岡は日本文理に延長11回1-2でサヨナラ負けした。決勝打を浴びて秀俊が号泣する姿を目の当たりにし、無念を晴らす決意をした。「勝利につながる投球をしたい」。最初の標的は来春センバツ。兄が到達できなかった大舞台に向け、まず1歩を踏み出した。【斎藤慎一郎】