【サラソタ(米フロリダ州)16日(日本時間17日)=四竈衛】メダル獲得へ負けられないU18W杯の日本代表が、5回降雨コールドでオランダを下し、4位以上が確定した。今大会初先発の大阪桐蔭・川原嗣貴投手(3年)が5回3安打無失点無四球6奪三振と、背番号「18」にふさわしい好投。バント安打1本だけで決勝点を奪い、決勝進出へわずかな望みを残した。

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日本での合宿時には調子を落としていた川原が、崖っぷちの一戦で輝きを取り戻した。今大会は2試合で救援登板。前日、主将の近江・山田がKOされた直後の試合で、先発に指名された。「チームが2連敗していたので何とか連敗を止めたい気持ちがありました。大事な場面で起用してくれた思いに絶対に応えたいという意識で投げました」。

米国入り後、硬いマウンド対策としてリリースポイントの位置を下げるフォームに修正した。「大阪桐蔭では受けて立つというか、他のチームがチャレンジャーのように来ていた。でも、対外国は自分たちがチャレンジャー。弱い者が強い者に立ち向かって行く方が力が発揮できる」。名門・大阪桐蔭のエースとしての意地と大舞台での経験値を、強者相手にも発揮した。

得点力不足が続く打線はわずか1安打と、この日も外国人投手特有の「動く球」に芯を外された。だが、パワーでは劣っても、小技は日本野球の伝統。3回、バント安打と四球で無死一、二塁となった好機には、主砲の高松商・浅野が「高校では初」という犠打を決めた。1死二、三塁からは2番の九州国際大付・黒田が8球粘った末、しぶとく二塁ゴロを放ち、三塁走者が生還。待望の先制点を挙げた。

試合後、馬淵史郎監督(66=明徳義塾)は「安打1本で勝ったというのは、あまり記憶にない」と話す一方で、「今日の川原なら1、2点でも行ける」と、浅野の犠打の理由を説明した。スーパーラウンドは通算2勝2敗となり、4位以上が確定。わずかに残る決勝進出の可能性は、17日(同18日)、米国を倒すことが絶対条件となる。