彦根総合(滋賀1位)が接戦を制し、同校初の甲子園出場に向けて大前進だ。同点の7回無死一、三塁。森田櫂捕手(2年)が右越えに勝ち越しの2点適時三塁打を放った。さらに徳村光希内野手(2年)の中前適時打で加点。終盤に効果的な3点リードに拡大し、逃げ切った。先発野下陽祐投手(2年)は8回途中2失点の好投で貢献した。

北大津(滋賀)で6度甲子園に導いた宮崎裕也監督(61)は「外野が2本、ホームで刺してくれたプレーが大きかった。野下は今日は悪い方。もっと打たせて取る投球をすれば持ち味が出る」と振り返った。

滋賀県勢は近年、20日のドラフトで西武5位指名されたエース山田陽翔投手(3年)を擁する近江が甲子園常連校に躍進。春夏甲子園3大会連続4強以上で、3月のセンバツは準優勝だった。ここまで近江の独壇場だったが、宮崎監督は言う。

「近江高校は目と鼻の先の近所の学校。滋賀県の目印で全国級の学校ができてしまった。かえって目標が近くにあってやりやすい」

生徒にも冗談を交えて暗示を掛けた。「近江高校さんが滋賀県初の優勝だけはとっておいてくれてはる。そのチャンスはまだ、あるんやぞ」。ナインも目の色を変えて、グラウンドで躍動した。宮崎監督は「滋賀県は甲子園に出るだけじゃなく、甲子園で優勝を狙えるところまで近江高校が道を切り開いた。道ができているので歩きやすい」と説明した。秋の滋賀王者らしく堂々たる戦いを披露。21年4月に就任した指揮官とともに、初めての甲子園の舞台を目指す。