清原ジュニアの躍動が、関東大会でも続く。来春センバツ出場校の選考資料となる秋季高校野球関東大会が開幕。慶応(神奈川2位)は西武、巨人などで通算525本塁打と活躍した清原和博氏(55)の次男・勝児(かつじ)内野手(1年)が勝ち越し2ランを放ち、常磐大高(茨城2位)を5-3で下した。25日の昌平(埼玉1位)戦で勝利すれば、センバツ出場に当確ランプがともる。

横浜(神奈川1位)は2-0の完封で浦和学院(埼玉2位)に勝利した。

   ◇   ◇   ◇

清原が父の前で1発を放った。同点の4回1死一塁。3球目の内角直球を振り抜くと、打球は一直線で左翼席に突き刺さった。「父には高校に入って初めて(生で本塁打を)見せられた。良かったなと」。一塁側スタンド、前のめりで観戦していた父は立ち上がり、太い右腕を2度、突き上げた。笑顔で拍手を送った。

帽子のつばの裏には父直筆の言葉「氣」「己を信じてリラックス センター返し」が記されている。ユニホームの左袖、ワッペンの裏には、西武時代のヘルメットに付いていた背番号「3」の数字部分が縫い付けてある。「あの打席も、センター返しでチームに貢献することだけを考えていました」。思いを背負ってプレーし、体現した高校通算8号だった。

直談判が結果を呼んだ。第1打席では内角攻めに遭い、遊飛に倒れた。試合前、慶応ナインには「内角攻めを気にせずにいこう」というテーマがあった。それでも清原は森林貴彦監督(49)に訴えた。「次もまた真っすぐが来ると思うんです。狙ってもいいですか」。森林監督は快くGOサインを出した。「自発的に狙い球を絞ることは推奨しています。今日は狙いが他にある中でしたが、覚悟を持って言ってきた。それがうれしかった」。考えて行動する力も育っている。

和博氏が高校歴代最多の通算13本塁打を放った甲子園まであと1勝。清原は「父も活躍した夢の舞台。次も打ち勝って甲子園に行きたい」と目を輝かせた。“高校球児・清原”が聖地に戻れば、85年夏の決勝以来、38年ぶりになる。【阿部泰斉】