山梨学院が春夏を通じて県勢初の決勝進出を決めた。同点の9回、4番高橋海翔内野手(3年)の決勝打から5点を奪い、広陵(広島)を下した。報徳学園(兵庫)は5点のビハインドから史上初となる2度目の春連覇を狙った大阪桐蔭に逆転勝ちし、21年ぶりの決勝進出を決めた。1日の決勝戦は午後0時半開始の予定。

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経験豊富な4番が流れを一気に引き寄せた。同点の9回1死二塁。一塁側アルプスからチャンステーマ「BigWave」が流れる。「迷うなー!」。吉田洸二監督(53)の声が聞こえてきた。カウント1-2から外角135キロ直球を見逃し、判定はボール。「見極められて落ち着いた」。けん制を挟んだ後の真ん中低めのスライダーをバットの先端ですくい上げ、中堅手の前へ運んだ。二塁走者の星野の生還を確認し、大きくガッツポーズをした。

打席で、昨年のセンバツがフラッシュバックした。2年生ながら「4番一塁」でスタメン出場。だが初戦の木更津総合(千葉)戦は5打数1安打2三振で、チームは延長13回でサヨナラ負け。「今までで一番悔しい試合。もう嫌な思いはしたくなかった」。聖地を自らで良い思い出に変えた。

小学生で本塁打は50本以上。世田谷西シニアで打撃フォームの基礎を学び「打てるようになった」とさらに磨きがかかった。同校進学後も対応力と勝負強さを買われ、1年から4番。甲子園に入ってからも宿舎の地下で、夜間に30分の素振りは欠かさない。

憧れのヤクルト村上がWBC準決勝メキシコ戦で逆転サヨナラ打を放って決勝進出を決めたように、大一番で活躍し「最高です」と喜んだ。吉田監督は日本がWBCを制した06年と09年、清峰(長崎)で準優勝、優勝。今年、日本は優勝。「諦めないで食らいついてやっていきたい」。吉兆データも山梨学院を後押しする。【星夏穂】