北海が13-2で北海道栄を下し、15年以来8年ぶりに最多を更新する12度目の春全道制覇を果たした。昨秋背番号1を背負っていた熊谷陽輝投手(3年)が今春の公式戦初登板初先発。4回1安打無失点で勝利に貢献した。準々決勝と準決勝で2試合連続完封の際だった強力投手陣を武器に、夏は全国最多40度目、2年ぶりの甲子園出場を狙う。

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強力な北海投手陣が、春最多12度目優勝の大きな原動力になった。決勝の先発マウンドを託されたのは昨秋背番号1を背負ったエース格の熊谷だった。今春の公式戦初登板初先発で4回1安打無失点。「最初から全力でいこうと思っていた。もちろん緊張はしたけどチームに貢献できてよかった」と笑みをこぼした。

熊谷はこの春、背番号3をつけて臨んだ。4月にU18日本代表候補選手強化合宿に参加予定だったが、右肘に張りや炎症があり辞退。地区予選から公式戦で投手としての出番は一度もなかったが、徐々に肘の状態は回復。全道大会期間中に2度ブルペン入りし、60球程度投げ込むなど準備をしてきた。この日の朝に平川敦監督(52)から「行けるのか?」と聞かれ「行けます」と即答。60球前後だった目安通りの55球を投じ、役割を果たした。

今大会2度の完封勝利も夏への弾みとなった。27日の準々決勝・札幌日大戦では、背番号1の右腕、岡田が被安打2で完投。29日の準決勝・札幌大谷戦では背番号12の左腕、長内が被安打4で投げきった。この日は2投手がリリーフ登板。長内は2回1安打無失点、岡田は3回4安打2失点(自責0)。長内は「やっぱり1人じゃ勝てない。1人に頼るというよりはみんなで。そこは北海の良さだと思うので、そこを生かして夏も頑張りたい」と意気込む。

平川監督は「投手は予想以上に投げてくれた。ここから夏までどれだけ上げていけるか。あとは気持ち、メンタル面の部分が非常に大きいと思うので、練習からもう1回しっかりやっていきたい」と見据える。8年前は春夏連続優勝で甲子園に出場した。熊谷は「浮かれている暇はない。ここからまた1つレベルアップして夏に挑みたい」と気を引き締める。全国最多40度目の甲子園出場を狙って夏に挑む。【山崎純一】

○…北海打線が投手陣を強力に援護した。8回裏無死三塁、6番幌村の中前に運んだ打球が芝生の上で弾んだ瞬間、先発全員安打が完成した。15安打13得点。3回には打者12人で一挙8点を奪い、試合の流れを決定付けた。7回に2点本塁打をたたき込んだ主将の今北は「自分の欲を出さないで後ろにつなぐ意識が、15安打につながったと思います」と胸を張った。

今春は札幌地区予選を含め計7試合で56得点、1試合平均8得点。決勝を含め3試合で2桁得点と打線も活発だった。投手を含めて内外野4ポジションをこなし、打っては2安打3打点の長内は「夏も、打撃でもピッチャーでもいいところが出せるよう頑張ります」と甲子園のかかる次のステージを見据えた。